


高岳東峰からの北尾根
山岳会に入会して本格的に登山を始めてからも阿蘇の山には、登ったことがなかった。阿蘇といえば小学校の修学旅行で中岳に登ったくらいだったが、所属山岳会の根子岳登山のリーダーをまかされたことで、個人山行で下見にきてから何度か阿蘇に通うようになった。その中でも2月に赤谷をつめて高岳東峰に登ったことが印象に深い。その山行で赤谷より見上げた鷲ヶ峰のアルペン的な景観に魅了され、北尾根は憧れの山であった。冬にアイスクライミングのルートとなっている赤谷の全景。
期 間:平成13年4月15日
メンバー
C L 末永
S L K山
会計 H
仙酔峡(5:15) ⇒ 関門(6:15) ⇒ 赤壁(7:50) ⇒ 鷲ヶ峰(10:00) ⇒ 高岳東峰(13:20) ⇒ 仙酔尾根経由 ⇒ 仙酔峡着(15:30)
北尾根もリーダーの私も含め3人とも初めてのルートで、関門からの取付きから迷ってしまった。山岳書からコピーした概念図とHPの情報のみが私たちの全ての情報だったので、最初赤谷の取付き付近からガリー2を目指して登ろうと考えルートを探していたところ、腐ったハーケンを確認したのでここから登りはじめるが、岩が非常に脆くすぐに降りて、関門入口付近まで戻りルートを探していたところ虎ヶ峰基部を巻くような道があったので、ここから登り始める。以前、山岳会の会長に取付きを教えてもらっていたが完全に忘れていた。この道は、ノーマルルートである。途中からノーマルルートが分岐しているが、左のガリー2をつめて第一キレットにつめるルートから赤壁を越えるルートがノーマルBと呼ばれ、そのまま鷲ヶ峰の基部を巻いて鷲ヶ峰に登りつくルートがノーマルAと呼ばれているようだ。

第一キレットから関門を望む
ガリー2をつめて第一キレットに出た時の陽射しが印象的であった。これで念願の北尾根に立った事になる。第一キレットから虎ヶ峰に登るルートもあるようだが情報が全くない事と先を急ぐためにそのままジャンダルムを越え赤壁を目指す。

第一キレットから上部を望む

ジャンダルムからみた虎ヶ峰
ジャンダルムからみた鷲ヶ峰北壁
第一キレットからは、踏み後らしきところをだどり、情報をもとに赤壁基部まで問題なく進む。ここまでは、北尾根がそこまで脆いとは感じなかったが、赤壁に取付いてからは、その考えが一転した。


赤壁をリードする末永(赤壁のみクライミングシューズを使用する。)
赤壁の下部は、いくつか古びたハーケンがあったが、途中から全く支点がなかった。登ったルートが間違っていたのかもしれないが目につかなかった。リードする方向は、全く自分の判断で登っていったが、稜線に上がる付近の岩は非常にもろくほとんどが浮いているような感じがした。事実、ほんの少し触れただけでかなり大きな岩が落ちて左足を少しケガしてしまった。それで特に岩が浮いているように感じた事もあるだろうが、正直行ってもう登りたくない気持ちだ。これだけ浮いていると多分ハーケンを打ってもほとんど気休め程度しかならないだろう。後日、もう一度他のHPで確認したが、ほぼ同じルートを登っているようだが、核心はもてないでいる。ただ、近年赤壁については、崩落がかなり進んでいるように感じる。帰りに仙酔尾根からみた赤壁は、他の北尾根上よりも赤茶げて一見して崩落が進んでいる事が分かった。もし、冬に完全に浮き石が凍りついてしまうなら、アイゼンと手袋をつけても冬に登る方が安全ではないだろうか。今回、雪解け後の岩が緩んでいる時期なので時期も悪かったとは思うがあまりに危険度が高いような気がする。
セカンドでフォローするH氏
赤壁を抜けてからもセカンドを確保するための強固な支点となる岩を見つけるのに苦労した。やっと見つけた岩もいまいち信用できないのでこの岩で自己ビレーをとりATCでのボディービレーを行った。鷲ヶ峰北壁は、当然のごとくパスして、鷲ヶ峰基部を右から巻いて西稜の肩を目指す。鷲ヶ峰基部は、足場も悪くスリップでもすれば、大変なのでここでもしっかザイルを出して確保した。西稜の肩でノーマルAと合流する。ここからは、かなり急な登りを鷲ヶ峰に直登する。途中、いくつかのハーケンもあった。今回は、時間がかかったが、訓練もかねて稜線までアンザイレンで通した。時と場合にもよるが、基本的には、ザイルなしで時間を稼ぐより、ザイルを出してもすばやく動けるようにザイルワークを練習しなければならないと感じている。

鷲ヶ峰山頂にて
西稜の肩で出会った福岡の大学生に写真を撮ってもらう。彼ら3人は、西稜の肩に直接登るノーマル以外のルートを登っていた。ルート名不明。私は、写真を撮ってもらう間も北尾根上部を観察していたらしく鼻の穴が見えそうなくらい上を見ている。撮影後、すぐに彼ら3人が出発したのでK山氏は、急いで後を追おうといったが、北尾根に取付いた地点でルートの選定は、自分で決めるつもりでいたので、山頂でしばらく休んでから行く事にした。念のために大学生にナイフリッジの状況を確認したところ、赤壁が一番の核心で後はそう問題ないという解答であった。他に小倉からの5人パティーが同じルートから入山しており、鷲ヶ峰北壁も登っていたようだ。
最上部の平らな箇所が
天狗の舞台
鷲ヶ峰から見たナイフリッジ

鷲ヶ峰から見た虎ヶ峰

鷲ヶ峰から見た根子岳
鷲ヶ峰からは、鷲ガ峰1峰 鷲ガ峰2峰を越え20m懸垂下降がある支点はいくつもの残置のスリングの束があったが、根子岳と同様の新しい強固な支点があったので、スリングと同時に通して懸垂の支点とした。支点まで少し降りないと行けないので、上部から長めのスリングで自己確保を行った。最後に懸垂するH氏のために、二ヵ所の自己確保の支点も作り、自己確保のための支点回収できる体制もおこなった。ここの懸垂は、右斜めに降りないとならないので、今回風がなかったから問題なかったが風が強い日は大変だと感じる。降り立ったところが第二キレットである。ここから15mの岩壁があるが、支点も多くそう問題にならない。ここからいよいよナイフリッジの通過になるが、あまり周りを見ると怖くなるので尾根上のみを見て歩いていく。ザイルは、支点がほとんど取れなかったが、岩角にかけたり潅木でとったりと時間はかかったが少しでも安全に通過する事を重視した。「途中3m程の壁があり、左踏み跡があるこれは間違い」という情報はあったが、踏み跡通り行ってしまい。途中から尾根にもどった。雪がなかったのでそう困難ではなかったが、雪があると当然壁を越えるルートが安全と思われる。

高岳東峰(天狗の舞台上)より
最後までアンザイレンのまま来て、やっと高岳東峰にぬけることができた。天気も良く暖かいのでゆっくり時間をかけて昼食をとる。今日は、本当に天気が良く鷲ヶ峰周辺の概念が良く理解できた。今年の正月に視界がほとんどない状態で赤谷をつめて稜線に抜けた後、右も左も分からない状態で地図とコンパスをだして位置を確認したのがうそのようだ。
とりあえず、多少のトラブルがあたが3人とも無事に東峰に立つ事が出来て良かった。
帰りは、 仙酔尾根を降りた。